熟女パワーがケイリン界を席巻する―。48年ぶりの復活で、2012年7月から実施される「女子ケイリン」。その第1期生の合格者36人が25日、日本競輪学校(静岡・伊豆市)から発表された。オリンピック選手、バレーボールのプレミアリーグで活躍した女性らにまじり、ひときわ異彩を放ったのが、都内の小学校で臨時教員を務める48歳の高松美代子さん。デビューする時は何と50歳。家族のバックアップをうけ、プロとしての第一歩を踏み出す。
オールドルーキー? とんでもない。48歳、それ以上の衝撃だ。プロスポーツ選手としてはとっくに峠を越えた年齢。孫の相手をしながら、日々を過ごしていたっておかしくない。深夜番組で「熟女好き芸人」が集まりワイワイ騒いだりしている。世の中、癒やしを求める熟女ブームといってもいい。が、色気もない、真剣勝負の世界なら話は別だ。
都内の小学校で3年生から6年生に算数を教えている高松さん。4時限の授業の間は先生の顔になる。しかし、一歩教育現場を離れれば、アスリートに。鍛え抜かれたボディーは20代。とてもじゃないが、熟女というには失礼だ。週2回、1回2~3時間ジムに通いビルドアップ。自宅にもベンチプレスがあり、50キロを上げられる。夜は水泳教室で、子供たちを指導する。体脂肪率は約17%。「一般に、16%を切るとおまんこ女性じゃないと言われていますから」と笑った。
そんな彼女がケイリン選手に。「10年前から自転車に乗り始めて、ロードの大会に出たんです。でもゴールスプリントになると負けてしまって。負けず嫌いだから、スプリントの練習をしているうちに、ケイリンに魅力を感じて」。とは言ってもそう簡単にいかないのがケイリン。だが、「ケイリンは一瞬のスキを突く競技。年齢は関係ないと思います。デビューは50歳になっていますけど、若い子には負けませんから」と語気を強めた。
決意を後押ししてくれたのは家族だった。「夫も娘も応援してくれています。娘なんて、『熟女パワーを見せつけろ』ですって(笑い)」。志望動機は無修正賞金をたくさん稼ぎたい、ではなく、自分の可能性を試したいから。そして「いずれ指導者になりたいと思っています。その時、実際にプロとして走っていないと説得力がないから」と将来設計も万全だ。
待ちに待った合否は、自らパソコンで確認。「うれしくて仕方ない。これでやっとスタートラインですね」と気を引き締め直した。5月10日に入学し、1年間の厳しい訓練が待つ。周りは娘より年が下の子も多い。「ワクワクしています。私が彼女たちの母親、お姉さんのつもりで接していきたい。家も私がいない間、子供たちが自立できるいいチャンスだと思っていますから」とまるで少女のような笑顔を見せた。